お勧めのアイリッシュフィドルのCD

アイリッシュフィドルの神様と呼ばれる伝説的なフィドラー

Michael Coleman(マイケル・コールマン) 1891-1945

マイケル・コールマン

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アイリッシュフィドルといえばこの人をおいて他にはないでしょう。

マイケル・コールマンは多くのフィドル奏者に影響を与えた、アイリッシュフィドルの神様とも言えるほどの奏者です。

スライゴ州出身で20台前半でニューヨークへと渡り、現地で多くのレコードを残しました。マイケルが吹き込んだのレコードはアイルランドにも逆輸入され、アイルランド中の多くの奏者が彼の演奏の影響を受けたのでした。

クレアの大御所フィドル奏者パトリック・ケリーは生前「クレアスタイルのフィドル奏法にとっての最悪の出来事は、マイケル・コールマンのレコードの出現である」と語ったことがありました。

これは、クレアのフィドル奏者の多くがマイケル・コールマンの影響を受けて彼の演奏を真似しまったために、それまで受け継がれてきたクレアスタイル(※)の伝統が失われてしまった、という意味なのだそうです。

(※)アイルランドの地域別のフィドル奏法についてはこちらをご覧ください。

CDは2枚組みは収録されている曲は全て戦前にSP盤レコードとして発売されたものです。古い録音であることは否めないですが、演奏のレベルの高さは現代の演奏と比較してもなんら遜色ありません。

iTunesでダウンロード版も購入できますが、CDの方は小冊子がついてくるのでCDの方がお勧めです。


CD版には当時のアイルランドの音楽や歴史のことが書いてある小冊子がついてきます。

戦前のマイケル・コールマンの演奏

マイケル・コールマンのような演奏スタイルに興味がある方には、マイケル・コールマンのボウイングを完全コピーした「Bowing Styles in Irish Fiddle Playing」というアイリッシュフィドルのボウイングの技術解説書がお勧めです。

プロフェッサーと呼ばれた緻密な演奏が特徴のマイケル・コールマンのライバル的存在

Paddy Killoran & James Morrison (パディ・キローラン&ジェームス・モリソン) - From Ballymote to Brooklyn

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パディ・キローランとジェームス・モリソンはマイケル・コールマンとほぼ同時期に活躍したフィドル奏者です。

二人ともマイケルと同じくスライゴの出身でニューヨークに渡り、現地で多くのレコードを残しました。

特にジェームス・モリソンの演奏はマイケル・コールマンに引けを取らない高度な技術を持った演奏で、マイケルとはライバル関係にあったと言われたこともあったそうです。

パディ・キローランの演奏はコールマン&モリソンの演奏に比べると若干シンプルでおとなしい目な感じがしますが、スイートでスムーズなテイストはリラックスして聞くことができます。

パディ・キローランは奥さんがクレアのミルタウンマルベイ出身であったことからたびたびクレアを訪れることもあったそうで、クレア滞在中はウィリー・クランシーと演奏することもあったそうです。

パディ・キローランの演奏

ジェームス・モリソンの演奏


カーネギーホールでソロリサイタルを開いたマーティン・ヘイズの叔父にあたるフィドラー

PADDY CANNY & P.J. HAYES (パディ・カニー&P.Jへイズ) - ALL-IRELAND CHAMPIONS - VIOLIN

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「パディ・カニー」はマーティン・ヘイズの叔父にあたるフィドル奏者です。

スイートでスムーズな奏法が特徴です。

1950年台にはアメリカでも人気があり、カーネギーホールでリサイタルを開いたこともありました。

このCDは長らく「アイルランドでもっとも手に入りにくいレコード」と言われていた伝説的な「All Ireland Champions」というレコードの復刻版で、パディ・カニーのほかにマーティン・ヘイズの父親の「P.Joe ヘイズ」、フルート奏者の「ピーター・オロッコリン」が録音に参加しています。

パディ・カニーとピーター・オロッコリンによるフィドル&フルートのデュエット演奏のトラックは必聴の価値ありです。

パディー・カニーとアイルランドを代表するフィドル奏者フランキー・ギャビンの演奏です。

パディ・カニーの孫娘イーマ・コクラン(Eimear Coughlan)も優れた演奏家(ティン・ホイッスル、フィドル、ハープなどを演奏)として活躍していて、2014年のオールアイルランドフラーのハープ部門、トリオ部門で優勝しています。

パディ・カニーの孫娘のイーマ・コクラン

アイルランド系アメリカ人として初めてオールアイルランドフラーで優勝

Kathleen Collins (キャサリン・コリンズ) - Traditional Music of Ireland 

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キャサリン・コリンズはニューヨーク出身のアイルランド系アメリカ人のフィドル奏者です。

アイルランド系アメリカ人として初めてオールアイルランドフラー(アイルランド音楽の全国コンクール)で優勝した奏者としてもよく知られています。

アイルランド音楽の老舗レーベル「シャナーキ・レコード」の創業者「ダニエル・マイケル・コリンズ」キャサリン・コリンズに兄にあたります。

ボタンアコーディオンの大御所「ジョー・バーク」との結婚に伴いゴールウェイに住んでいたこともありました。(後に離婚)

演奏スタイルは、マイケル・コールマンの流れを汲む"スライゴ-ニューヨーク系"のスタイルと、ジョー・バーク直伝の東ゴールウェイスタイル、上手くミックスした、リズミックにしてメロディアスな演奏が特徴です。

コークバージョンといわれる「Limerick Lasses」が収録されているなど、コークの方のスタイルの影響も見られます。(キャサリン・コリンズの最初のフィドルの先生がコーク出身でした)

アイリッシュ音楽におけるインプロヴァイゼーションのパイオニア

Tommy Potts (トミー・ポッツ)- The Liffey Banks

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トミー・ポッツはダブリン出身のフィドル奏者です。

アイリッシュフィドルの演奏にジャズさながらのアドリブの手法を取り入れた最初のフィドル奏者の一人と言われています。

演奏のスタイル自体はやや古めかしい(?)感じがあるので、アイリッシュフィドルのことをよく分からない人には、「この演奏のどこが凄いの?」と感じるかもしれませんが、アイリッシュフィドルの世界ではトミー・ポッツのような即興性のある演奏というのはなかなかできるものではありません。

マーティン・ヘイズなど現代を代表する演奏家にも影響を与えた、アイリッシュフィドル界のレジェンドの一人です。

フィドルの神様マイケル・コールマンの唯一の弟子 - 伴奏はポール・ブレイディ!

Andy McGann (アンディ・マガン) - It's a Hard Road to Travel

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アンディ・マガンはニューヨーク出身のアイルランド系アメリカ人です。

アイリッシュフィドルの神様マイケル・コールマンから直々にレッスンを受けた数少ない奏者の一人です。

演奏スタイルはマイケル・コールマン直伝のスライゴのスタイルがベースになっていますが、リズミックでダイナミックながらも急かせるような感じがしない落ち着いたジェントルなタッチが特徴です。

2014年のオールアイルランドフラーのフィドル部門では、アンディ・マガンから指導を受けたブライアン・コンウェイの生徒だった「ディラン・フォーリー」が優勝するなど、「スライゴ-ニューヨーク系」のスタイルは今でも継承され続けています。

元祖"ロンサムタッチ"。スイートで流れるような演奏が特徴

Sean Ryan (ショーン・ライアン) - A Double CD Remastered

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ショーン・ライアンはティぺラリー州出身のフィドル奏者です。

同姓同名のティンホイッスル奏者がいますが、ティンホイッスルのショーン・ライアンとは別人です。

ティぺラリーでも東クレアや東ゴールウェイ寄りのニュータウンという町の出身とあって、演奏のスタイルやレパートリーやクレアやゴールウェイのスタイルと通じるところがあります。

曲の作曲でも有名で、セッションでも盛んに弾かれている「Reel Of Rio」や「Glen of Aherlow」はショーン・ライアンによって作曲されました。

マーティン・ヘイズなどがよく弾く「Castle Jig」やNightingale」などもショーン・ライアンの代表曲です。

この2枚組みのCDの2枚目のCDでは、全曲ショーン・ライアン自身による自作曲の演奏を聞くことができます。

曲の美しさもさることながら、滑らかでスイートでジェントルなタッチの演奏を聞かせてくれます。

東クレア、東ゴールウェイ系のスタイルが好きな人はきっとハマると思います。

ストラディバリウスを貸与されたことがある唯一のアイリッシュフィドラー

Sean McGuire (ショーン・マグワイア) - Finest

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ショーン・マグワイアはベルファスト出身のフィドル奏者です。

父親は伝統的な"フィドル"の奏者でしたが、本人はフィドルと同時にクラシックバイオリンのレッスンも受け、10代のころはベルファストのユースオーケストラで演奏するなどクラシック奏者としても活躍していました。

20代のころはフィドルの奏法にクラシックバイオリンのテクニックを駆使した、超絶的な奏法が話題となり、アメリカのエドサリヴァンショーに出演するなど"エンターテイナー"としての地位を確立しました。

アメリカ時代にはストラディバリウスを貸与されたこともあったそうです。

ショーン・マグワイアがストラディバリウスを貸与されて演奏したいう話はこちらの記事に掲載されています。

・Fleadh pays tribute to the ‘King of Fiddle Players’

演奏のスタイルはクラシックバイオリンの超絶技巧を駆使した演奏ながらも、テクニックを見せつけるような感じでもなく、楽しんで聞くことのできる演奏です。


Martin Hayes (マーティン・ヘイズ) - Welcome Here Again

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マーティン・ヘイズのCDは何枚も出ていますが、一枚だけ選ぶのであればこの「Welcome Here Again」が一番のお勧めです。

アイルランドのダンス曲の演奏というと複数の曲を繋げて"セット"で演奏することが多いのですが、このアルバムでは一曲だけで終わるトラックの多いです。

ある雑誌のマーティンのインタビュー記事によれば昔は「単曲」で演奏することの方が多かったそうです。

マーティンはライブでは1セットに10曲以上の曲を繋げて20分以上演奏することもあるのですが、このCDでは一曲一曲丁寧に弾きこんでいます。

東クレアの重鎮

Vincent Griffin (ヴィンセント・グリフィン) - Vincent Griffin and Friends

ヴィンセントグリフィン

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ヴィンセント・グリフィンは東クレアのフィークル出身のフィドル奏者です。

上のマーティン・ヘイズも指導を受けたこともある、東クレアのみならずアイルランドを代表するフィドル奏者のひとりです。

オールアイルランドフラーのフィドル部門でも優勝しています。

奏のスタイルはマイケル・コールマンなどのスライゴ/ニューヨーク系のスタイルの影響が強く、クレアスタイルというよりかはスライゴスタイルに近い演奏が特徴です。ロンドンに住んでいた時期があり、ロンドン時代にはBrendan McGlinchey(ブレンダン・マクグリンチー)や、ショーン・マグワイアなど当時ロンドン在住していた奏者の影響も受けているようです。

ヴィンセントはなんといっても、私がアイルランドに住んでいたときにお隣に住んでいたので、私にとっては色々な意味でとてもインパクトの強い奏者です。

ヴィンセント・グリフィンについてはこちらもぜひご覧ください。

下はヴィンセントが私の家に遊びにきてくれた時の演奏です。