2016年オールアイルランドフラー参加記

世間がオリンピックで盛り上がっている頃、同時期に開催されたアイルランド音楽のオリンピックとも言えるアイルランド音楽最高峰のコンクール「Fleadh Cheoil na hEireann (フラーヒョールナヘーラン)」に出場するために、アイルランドに行っていました。

5月に行われたアイルランド音楽の公認講師資格「TTCT」の免状の授与式以来3ヶ月ぶりの渡愛です。

「Fleadh(フラー)」は世界中から参加者の集まるアイルランド音楽最大のフェスティバルで、毎年8月の第3週に1週間に渡って開催されます。

 

開催地はアイルランドの各県持ち回りで数年ごとに変わり、今年は私が以前住んでいたアイルランド西部のクレア県のエニスという町で開催されました。

1週間に渡るフラーの期間中、町のいたるところでコンサートやセッションなど様々なイベントが催されます。アイルランドを代表する演奏家によるレッスンを受けられるサマースクールも同時に開催されます。

 

フラー期間中最も盛り上がるのが週末に開催される楽器別のコンクールで、このコンクールの勝者は「オールアイルランドチャンピオン」と呼ばれアイルランド音楽の奏者にとって最も名誉な賞として認められています。

コンクールに出場するためにはオリンピックと同じで各国で開催される選考会にて一定の成績を収めなければいけません。

 

これまで日本では正式な代表選考会が行われたことがなく、フラーのコンクールに参加するためには現地に住んで現地の予選大会から勝ち上がっていくか、飛び入りで特別に出させてもらう以外に参加する方法がなかったのですが、今年日本で初めてのアイルランド公認の代表選考会が行われ、10数名の演奏家が日本代表としてフラーに参加することになりました。

渡愛前日にはオリンピックさながらの壮行会がアイルランド大使館で行われました。

アイルランド大使館
アイルランド大使館で行われたフラーキョール日本代表の壮行会
壮行会の最後に撮った日本代表メンバーとサポーター(?)の皆さまを交えての集合写真。
壮行会の最後に撮った日本代表メンバーとサポーター(?)の皆さまを交えての集合写真。

出国当日にはタイミング良く、今回のフラー参加に関係した記事が新聞に載りました。

壮行会の翌日にアイルランドへと飛び、ダブリン空港でレンタカーを借りて一路フィークルへ。フィークルは私が前に住んでいたクレア県の東側の村で、フラーが開催されるエニスからおよそ20㎞ほど。


借りた車はカーロゥナンバーのカローラ(ディーゼル車)でした。ディーゼル車だったのでガソリン代が節約できて助かりました。

ダブリン空港のレンタカー屋さんにて

ダブリン空港のレンタカー屋さんにて。宛がわれたのはディーゼル仕様のカローラでした。

ディーゼル仕様のカローラ

フィークルも明日からエニスで始まるフラーに合わせてちょっと賑わっているかな?と思っていたのですが、相変わらず静かな村でした。

フィークルに着いた翌日から「Scoil Eigse」というアイルランド音楽のサマースクールに参加しました。

 

今回はフルートのクラスを受講してみました。フルートをアイルランド人の講師から習うのはこれが初めてです。

フルートのワークショップが行われたRice College
フルートのワークショップが行われたRice College

私はアイルランド音楽の公認講師の資格を持つ身なのですが、フルートに関しては全くの素人なので、若い子たちに交じって基礎クラスを受講しました。

Scoil Eigseのフルートクラスの模様
フルートクラスの講師のブリード・オドノヒュー
Scoil Eigseのフルートクラスの講師「ブリード・オドノヒュー」

Scoil Eigseのクラスは2日おきに講師が変わり、1人目がBríd O'Donoghue(ブリード・オドノヒュー)で、2人目がMícheál Ó hAlmhainでした。

 

ブリード・オドノヒューはアイルランド音楽最大のサマースクール「ウイリー・クランシー・サマースクール」が開催されるミルタウン・マルベイの出身です。特にティンホイッスルの講師としては大変名高く、前から一度は指導を受けてみたいと思っていた奏者の一人でした。

 

2人目の講師のMícheál Ó hAlmhainはアラン諸島のイニシア島に住んでいる奏者で、このワークショップで初めて知った奏者です。

教え方は上手で若い子たちの受けは良かったようです。

Scoil Eigseフルートクラス2人目の講師のMícheál Ó hAlmhain
Scoil Eigseフルートクラス2人目の講師のMícheál Ó hAlmhain

講座が終わって町に出ると平日にも関わらずかなりの人手で賑わっていました。

エニス一番のハイストリートのオコンネル・ストリート。聖パトリックスデー以外でこれだけの人手で賑わうのを見るのは始めてです。
エニス一番のハイストリートのオコンネル・ストリート。聖パトリックスデー以外でこれだけの人手で賑わうのを見るのは始めてです。

路上のいたるところでストリートセッションをやっていて活気に溢れていました。

期間限定(?)のアコーディオンやアイリッシュハープ、バンジョーなどの楽器専門店もオープンしていました。

食べ物屋さんの屋台もたくさん出ていました。

Scoil Eigseの最終日には参加している受講生全員による大セッションが催されました。

サマースクールが終わるといよいよフラーのメインイベントであるコンクールが始まります。

コンクールはアイルランド音楽に使われているおおよそ全ての楽器を、楽器別に年齢ごとにカテゴリー分けして行われます。

 

楽器以外に歌と踊りのコンクールも行われます。

 

楽器はソロ以外にデュエット、トリオやバンド単位など、グループ演奏の部門もあります。

フラーのコンクールのタイムテーブル。
フラーのコンクールのタイムテーブル。

私はフィドル、バンジョー、マンドリンとその他の部門の合わせて4つの部門に出場しました。

その他の部門(Miscellaneous)の出場者リスト
その他の部門(Miscellaneous)の出場者リスト

その他の部門とは、楽器を限定しない部門のことで、基本どんな楽器でもエントリーできます。

本場のアイルランド音楽ではあまり用いられることのない「ハンマーダルシマー」や「ライアー」などはこの部門にエントリーすることができます。

出場者リストの楽器を見ると、テナーギターが3人と一番多く、あとは皆それぞれ異なる楽器でエントリーしています。

私もアイルランド音楽では割と珍しい某楽器で出場しました。

フィドル部門の参加者リスト
フィドル部門の参加者リスト

フィドル部門は計20名の参加者がありました。

アイルランド以外の国ではアメリカ、イギリス、コロンビアからの参加がありました。

私の下の「Rebecca McCarthy-Kent」と、19番目の「Lucia Mac Partlin」とは昨年10月に行われたアイルランド音楽の公認講師試験「TTCT Exam」で一緒でした。

フィドルのコンクールが行われたDánlann an Chláir
フィドルのコンクールが行われたDánlann an Chláir
バンジョーとマンドリン部門はSt. Flannan's Collegeという学校の体育館で行われました。
バンジョーとマンドリン部門はSt. Flannan's Collegeという学校の体育館で行われました。
マンドリン部門の優勝トロフィー
マンドリン部門の優勝トロフィー
        
        

コンクールの結果はクレア県の県庁舎の設けられたフラーオフィスに随時に張り出されていきます。

結局残念ながら私はどの部門でも入賞は出来ませんでした・・

どの楽器も上位に入賞する人たちの演奏はとてつもなくレベルが高いです。

どういう演奏がレベルの高いかというとなかなか文章で説明するのは難しいのですが、とにかく私の今のレベルではとても太刀打ちできないことは確かです。

 

来年もまたフラーのコンクールに出るかどうかは分かりませんが、今回のコンクールで上位に入った奏者を見習って、今よりももっと高い技術を持って演奏できるよう精進していきたいと思います。

もし来年もまた日本でフラーの予選大会が開かれるのであれば、今度はもっと多くの参加があることを期待します。

 

今年の日本予選はなんと3人の参加しかなく、実質予選になっていなかったので・・・

 

ちなみにコンクールの前日には、一緒にフィドル部門に出場するコロンビアとアメリカはアラスカから来た奏者さんと一緒に現地のテレビに出演しました。

帰国の前日にはエニスの町中のストリートセッションで元お隣さんのヴィンセント・グリフィンに再会。一緒にセッションを楽しんできました。

ちなみにヴィンセント・グリフィンは1977年のフラーコンクールの優勝者です。

明日日本に帰るんだよと告げたらとても残念そうにしていましたが、来年の再会を約束して帰国の途に就きました。